「イミテーション・ゲーム」はじめにことばがあった
「イミテーション・ゲーム」は「言葉」についての物語だ。
暗号解読という意味でもそうだけど、それ以上に「言葉の持つ力」を信じさせてくれる映画だ。他の作品だと「インビクタス」や「英国王のスピーチ」がテーマとして近いかもしれない。
第二次世界大戦でのエニグマの解読が、世界を救ったと言われているけど、世界を救ったのはチューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)の作った暗号解読機"クリストファー"だろうか?それとも、解読機を作ったチューリングだろうか??
卵が先か、鶏が先かみたいだけど、世界を救ったのは「言葉」だと思う。
この言葉がなければ"クリストファー"は生まれなかったし、世界は救われなかった。
劇中のチューリングはアスペルガー的な傾向を持つ人間として描かれている。チューリングの言葉は周囲に理解されず、周囲の言葉はチューリングには理解できない。"世界"と通信するための、暗号の解読キーを見つけられていないのだ。
学生時代の唯一の友人クリストファーとチューリングとの通信の手段は2人だけの暗号だった。”世界”の言葉を用いていたわけではなかった。
チューリングに"世界"を解読してくれたのはジョーン(キーラ・ナイトレイ)だ。でもチューリングと出会うまでは、ジョーン自身も、周囲から理解を得られない環境に身を置いていた。ジョーンをスカウトするとき、チューリングはなんと言っただろうか。
Graham Moore's Inspiring Acceptance Speech for Best Adapted Screenplay - YouTube
<脚本家:グレアム・ムーア 受賞スピーチ>
皆さん、ありがとうございます。
アラン・チューリングは、このような舞台で皆さんの前に立つことが出来ませんでした。でも、私は立っています。これは不公平です。
私は、16歳の時、自殺未遂をしました。
自分は変わった人間だと、周りに馴染めないと感じたからです。
でも、今ここに立っています。
この映画を、そういう子供たちに捧げたい。
自分は変わっている、どこにも馴染めないと思っている人たちへ。
君には居場所があります。変わったままで良いのです。
そして、いつか君がここに立つ時が来ます。
だから君がここに立った時には、君が次の世代に、このメッセージを伝えてください。
ありがとう。
アカデミー賞で最も感動的だったスピーチ「人と違ったままであれ」
『イミテーション・ゲーム』脚本家インタビュー 「アラン・チューリングの物語を正確に伝えなくてはという責任を感じた」 | ガジェット通信